ストーマを装着した認知症の方への対応

ストーマとは、人工肛門のように糞尿を人工的に体外に排出する医療装置のことです。ストーマを装着した方は、オストメイトと呼ばれます。介護施設でも、利用者にオストメイトがいることが少なくありません。オストメイトに対し、看護師などの医療従事者と介護職員が連携してストーマケアを行います。オストメイトが認知症を発症している場合、ストーマの存在が煩わしくて勝手に外してしまい、糞尿が周囲に撒き散らされてしまうことも珍しくありません。

介護施設では複数の入居者が共同生活をしているので、介護職員が認知症のオストメイトの行為に注意して、周囲に糞尿を撒き散らす事態を極力防がなければなりません。認知症のオストメイトに、介護用のミトンを着けさせたり介護用のつなぎを着せたりして、ストーマをいじらせないようにする工夫も有効です。オムツをいじらせないようにする福祉用具も役に立つでしょう。こうした器具は、介護保険を使って安価な値段で購入することも可能です。長い腹巻きを着けたら、ストーマをいじらなくなった認知症のオストメイトもいます。

このように、物理的にストーマや糞尿を溜めるパウチと呼ばれる小袋をいじらせない方法の他、ストーマ以外のことに集中させる心理的なメソッドもあります。たとえば、介護施設の雑用を手伝ったり、デイサービスに参加してレクレーションを楽しんだりすることも、ストーマから意識を離す上で有効かもしれません。認知症患者は、時々意識が正常に戻ることがあるので、できるだけ糞尿を撒き散らす機会を減らして、本人の尊厳を傷付けないよう最大限の努力をすることが必要です。